キャッシング返済困難に陥ったら…個人民事再生の利用方法
借金が膨れ上がったり収入が減ったなどの理由から返済が困難となった場合、裁判所へ債務整理を申し立てることができます。債務整理というと自己破産のイメージが強いと思いますが、2001年に開始された個人民事再生の制度は、自己破産のように財産の全てを没収されることなく、借金を減額させることで債務者の再スタートを計る法律です。
【自己破産とは】債務者個人では借金を返せる見込みのない場合の最終手段です。地方裁判所で免責(返済の責任を免れること)が認可されれば、借金が全てなくなり、かわりに生活必需品以外の全財産(土地・建物・車・現金ほか)が没収されます。また免責決定がでるまでの間、資格制限により保険募集人や警備員の仕事ができなくなります。免責が認可されれば再開できます。≪自己破産のメリット≫借金の免除/取立てストップ/手続きが早い≪デメリット≫住宅、土地、車など財産を没収される/5~10年間は借入れできない/破産者名簿、官報に名前が載る/免責不許可になる場合がある
【個人民事再生とは】自己破産と違い借金が全てなくなるわけではなく、一部の債務を残して返済の負担を減らし、長期的に返済させる制度です。住宅ローン特則を適用すれば住宅は没収されず、住宅ローン返済の見直しも可能です。≪個人民事再生のメリット≫マイホームが手許に残る/債務が軽減される/ギャンブルや浪費による借金でも認定可≪デメリット≫全額の免除ではない/手続き期間が長い(半年ほど)/7年は免責を受けられない(自己破産できない)【民事再生の手続き】①地方裁判所への申立て→②再生手続き→③債権の届け出~調査・確認→④再生計画案の提出→⑤意見聴取、決議→⑥再生計画案認可の確定→⑦計画案の履行(予定道理完済すれば、残りの債務は免除)
【住宅ローン特則とは】民事再生では借金を一部免除することができますが、住宅ローンは減額されません。しかし再生計画を立てる中で、住宅ローンの負担が重荷になるようなら、その返済スケジュールを見直すことができます(期限延長、返済額軽減など)。≪住宅ローン特則の適用条件≫本人所有の住宅/ローン負担者である/住宅を担保に抵当権がある(無担保ローンはNG)/ローン滞納で保証会社の代位弁済(競売など)開始6カ月以内
申立ては個人でもできますが、手続きが難しいと思う人は専門家に協力依頼すると良いでしょう。民事再生で出した計画どおりに返済ができず、途中で返済が滞った場合は計画の変更やハードシップ免責(要件を満たせば残りの債務を免除)の制度を利用できます。しかし最初に決めた計画案とともに住宅ローン特則も取り消すことになり、住宅ローンは元の返済プランに戻されます。これにより結局、借金と住宅ローンの両方を返済できない場合は自己破産も考えなければなりません。できる限り最初の計画案を守って返済していくよう注意